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アートフラッシュ vol.114 「池島 晴子」個展 
流され、沈み、絡まり、そして。

  
開催日 10/1(土)~10/14(金)
会 場 御殿山生涯学習美術センター 1階 ガラスケース内
内 容 枚方ゆかりの若手・新鋭作家を応援する企画展「アートフラッシュ」。今月は池島晴子さん。平面と素材に空間を感じて絵画世界を創る池島さんの世界をぜひ堪能してください。
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に寄せて

それは雲にみえました。
それは川をかんじました。
それは山とかんじました。

紙を作る。大きな紙を作る時には沢山の水を使用する。水を吸い込んだパルプにはずっしりとした重さがあり、漉き終えて水を捌けさせた後でも1人ではびくとも持ち上がらず驚いてしまう。また、漉く最中では、水の中のパルプがお互いを流して流されていき、渦を巻いたり、新しいパルプから避けてしまい交わらず溝ができてしまったり、水の流れに影響されてまだらになっていく。その様子は雲の動きにも似ていた。そして、パルプは地面の凹凸に添う様に沈んでいった。、パルプの繊維は絡まり合い、一つのfieldをつくる。
紙に墨汁を流し込む。まず紙にオイルを染み込ませ、その上から墨汁を画面に流し込む。すると、水を含む墨汁はオイルの染み込んだ箇所を滑る様に動いていく。オイルが染み込んでいない箇所は墨汁が集まって溜まり、黒色の大きなシミを作る。もともとは、墨汁とオイルと紙の素材の関わり合いを観察する目的で行った行為と作品の様子は、紙の表面に出来た皺やパルプのムラによる凹凸は山や谷などの地形、その凹凸の間をぬう様に流れる墨汁は山と川の関係性や成り立ち、墨汁が染み込んだ黒色の大きなシミは海や湖、表面の表情は木々の枝を伸ばしていく様子の様で、自然空間の成り立ちを彷彿させられた。
墨汁を流し込む行為は、墨汁の流れを作るために、紙を自分で持ち上げて行った。紙の端を持ち、色んな角度をつけて上げる。大きな紙はやはり重みがあり、腕の長さより広い面は、角度を色んな所に付ける為に端から端まで順番に移動したり潜り込んだりと運動が必要になる。この身体的運動は、絵画という空間に関わっているのだと実感が大きく沸き、一つの大地を作り上げている様な感覚だった。この作品には大きなエネルギーが含まれている様に感じた。そのエネルギーは私が作り出した物のみではなく、自然、環境、素材からの関わりからも生まれていた。絵画の空間には沢山のエネルギーが関わっている。 絵画の面を空間と捉えらえた時、私たちの生活と取り巻く環境と絵画、この二つに違いはあるのだろうか。絵画に存在する空間を観察していると、私もこの世界の一部であり、世界は循環していると実感する。絵画はその展示空間を含めて一つの「場」を作り出している。

そこには雲がありました。
そこには川がありました。
そこには山がありました。
                   

 2022年10月 池島晴子

過去作品

作品タイトル:「できごと、山」2022 mixed media

   

お問い合わせ

050-7102-3135

開館時間:午前9時~午後9時まで(日曜、祝日は午後5時まで)
休館日:毎月第4月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始。