もくじ

●  読んだ本について
▼ 「怖い絵」について / ▼ この本を選んだ理由 / ▼  感想

● 今回のアクション!~鉛筆デッサンをしてみよう!~
▼ このアクションにした理由は? / ▼ 準備物 / ▼ 作り方  / ▼ 感想

● 
今回の記事を書いた人について

読んだ本について




「怖い絵」

著者 / 中野京子
朝日出版社
ISBM /  978-4-255-00399-3

「怖い絵」について

名画に秘められた謎を解き明かす、知的でスリリングな美術エッセイ本。数ある美術解説本の中でもとびきり「怖い」絵を集めている有名な1冊です。
美しいばかりのバレリーナを描いた、エドガー・ドガの「エトワール、または舞台の踊り子」の絵に隠されている「怖い」真実とは? 絵のテーマにとどまらず、画家本人の生涯と時代宗教背景を含めて広く深く名画の謎に迫ります。


この本を選んだ理由

芸大生必読本と教授に勧められていたのに、結局読まずに卒業してしまったことを後悔していたので、 今回の「ひらまな読書アクション!」企画を機にチャレンジさせてもらいました。
いずれ「怖い絵2」も読みたいと思います。


「怖い絵」感想


話に聞いていた以上に読みやすく、わかりやすく、そして美しい文章にしびれました。文字書き作家さんも芸術家ですね。
また 作中に出てくる絵の半分以上が大学の授業でも取り上げられていなかったので、大変勉強にもなりました。
絵画の評価の在り方は本当に時代に左右されていることを再確認させられるエピソードがどっさり。


特にアルテミジア・ジェンティレスキの『ホロフェネスの首を切るユーディト』の話は個人的にとても刺さりました。
アルテミジアはカラヴァッジョが描いたユーディトを参考に描いていたけれど、この本の解説を読んだら画家が込めた想いの違いがはっきり分かって大興奮!
ついつい作品の制作テクニックにばかり目が行きがちな私でも、女性蔑視に負けなかったアルテミジアという画家そのものへの興味が湧いてきたほどです。
卓越した描写力もすごいけど、彼女のメンタルの強さはぜひとも見習いたいなと心から感服いたしました。


「怖い」名画の魅力はどこにあるのか、どこに人は「怖さ」を感じるのか。
老いや死の恐怖、といったわかりやすい画題以上に、名画には確かな「狂気」が描写されている。
作者中野京子先生が選んだ「怖い絵」は、その「怖さの根源」をキレイに隠した作品が多く、またとてもドラマティックな背景がありました。


私は暗記が苦手で全く歴史を覚えられない頭なのですが、描かれた時代、描いた画家の人生を知った上で観る肖像画や宗教画は、また一段と面白さを増して感じられ、美術史の沼の深さに恐れおののいた次第です。美術館で記念に買った画集の文字の部分、今まで面倒くさくて読んでませんでしたが、次の休みはちゃんと読もうと反省いたしました。知ったらと面白いことって、簡単には見えないところに隠れているものなのですね。




鉛筆デッサンしてみよう!

このアクションにした理由は?

毎日抽象画のお絵描きしている私ですが、実はデッサンは死ぬほど苦手。大学卒業以来まったくデッサンはご無沙汰だったのですが、クラシカルな技法の絵ばかり見ていたら何だか懐かしくなって再チャレンジしてみたくなりました。さすがに油彩でテレピン出して~バーントシェナーだけで陰影つけて~乾いてから着彩して~なんてしていたら6月が終わってしまうので、さっくり1時間制限で鉛筆デッサンしたいと思います。

準備物

・画用紙 2枚
・えんぴつ(2H~6Bくらいまで各1本)
・カルトン(=画板←菅原生涯学習市民センターでは美術室にて備品貸出しております)
・目玉クリップ 2個
・けしごむ ねりけし
・測り棒(=細長いまっすぐな棒)※あれば
・カッター(鉛筆を削るため)
・モチーフ(=何か描きたいと思うもの・今回はたまねぎをチョイス)
・フキサチーフ(作品を保護するニスの一種)※あれば


鉛筆デッサンしてみよう!

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  



①鉛筆の状態確認をする。芯は長く、ぴんぴんにしたいところ。カッターで削る時は、皮むき:芯=2:1ぐらい、10㎜くらいは同一長さの芯を作りたいと思っております。鉛筆削り器で出せる芯の長さじゃ5分に一回削る羽目になるのですよ~。



②蛍光灯を消し自然光の入る場所を陣取って(理想)、机に画用紙を一枚敷き、その上にモチーフを置く。
背筋を伸ばして椅子に座り、カルトンに目玉クリップで画用紙を挟んで膝に乗せ、机に立てかける。
モチーフが大きくて、紙も大きい時はイーゼルに立てかけて描くのが一般的。



③とりあえず1時間きっかり描きました。途中経過写真撮り忘れました……。
まずHBくらいで形をとって、形が取れたらざっくざく陰影を描き込みます。
玉ねぎはね、物体の立体線を入れると艶が飛ぶので繊維に沿って陰影を描き込むほうがそれっぽく見えますね。
質感がしゃかしゃかしているので、固めの鉛筆をぴんぴんにして描かなくちゃ!とか、 練り消しを転がして輪郭線をぼかしたり、尖らせて光を描き込んだり、下の画用紙の照り返しも忘れずに~ とか、いろいろ大学教授の教えが脳内にはこだましました。
わかっていても実践が難しい、生涯学習鉛筆デッサン……。何時間でも描いて勉強できますが、今日はこれでおしまい!


感想

もともと下手だった学生時代よりもデッサンが下手になっていて大変焦りました。でも下手になっている自分含めて楽しかったですありがとうございます。
鉛筆デッサンをすると画面擦れを避けるため立ててた小指の第一関節が真っ黒になるのも思い出しました。
「怖い絵」で取り上げられている作品は、どれも卓越したデッサン力があり、技術面だけでも脱帽ものなことを再確認できました。
デッサンの狂いは見たらすぐにわかるのに、正しく描くことの難しさ。技術面での問題をクリアした先にようやく載せれる画家としてのメッセージ。名画の鑑賞はとても奥が深いですね。

なお、「怖い絵」はちゃんと枚方市所蔵本ですので、気になった方は是非借りて読んでみてくださいネ!



今回の記事を書いた人について




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菅原生涯学習市民センター 工作担当 よしだ

アフターファイブも休日もアトリエにこもって絵を描くのがライフワークな、生粋のインドア女子。芸術系大学ガラス造形コース卒。
コロナウィルスのワクチンができたら、また皆さんと大きなものを工作したいなと楽しみにしております。